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つっこめ! 角川エピガイ4

 さて、今回のつっこみのお題は「GUNDAM EPISODE GUIDE vol.4:新世界編」(角川書店・2000.11.10発行)でございます。いやvol.3は永島収さんも書いてらしたし、何分「グリプス戦争編」なので買ってはあったんですが、vol.4が出てたのを知らずに(すみません)1年遅れでvol.4を買って参りました次第。

 兄貴に報告したら、「え? 買ったの? だってあれ、帯に

『見てなくても大丈夫!
 この一冊で「G」「W」「X」の全てが解る!』

って書いてあったよって言ったら、あなた非難ごうごうだったじゃない」と言われてしまいましたが、そんなの全然記憶にありません……すまんな、兄貴。

 で、買う前に店員さんに袋開けて貰って一応確認したんですが、その時のポイントが「GXの年表が改訂されている」だったのが何ともはやでございます←GX年表マニア。

 ちょっと今例のアニメディアの付録(おそらく商業出版で最高レベルのGX関連資料)が手元にないんで、代わりになるかなぁ? という思惑もあったんですが、その、あの……やっぱり角川の本やなぁ。という感想にどうしてもなってしまいます。GX本放送の折にも「NewType」誌での無視のされかたというのは、いい加減な記事組まれるよりはマシというものでしたんで、今回のも期待はしてませんでしたけどね;p というのは基本的にGX関連アイテムとしてのものであって、GとWのページはまだ殆ど目を通してもいないのですが。

 さーてどこからつっこめばよいのやら状態ですが、とりあえず順番に;

年表(p64)
 随分シンプルになってますが、やはり「調停会議」が「第1回」になってるので、例の横浜での「ガンダムビッグバン宣言」パンフ掲載の年表からのコピーであると分かるもの。ただこのエピガイ4の年表では年だけで月が入ってないので「第1回」だと正しいんですけど、本編では「第1回」という言葉は出てきていないのです。

■ガロード・ラン(p66)
 「ニュータイプではないかとも言われる」って……(絶句)。本編中にこんな台詞はなかったと思うのですが〜。第一、ガロードがニュータイプだったら、GXというお話が瓦解しかねないんですけど。GXちゃんと見てたら、こんな危険な文章書けるはずはないと思いたいんですが。

#実は、LD第1巻の高松監督のインタビュー中に
 「ガロードに代表される普通の人々こそが、新たな時代を導く者たちであり、その切り開こうとするチャレンジ精神こそが、「ガンダムX」の世界においてのニュータイプであろうと思うからです」
 という言葉があるので、「ガロード=ニュータイプ」という言質がないとは言えないんです。でもこれはあくまで高松監督の言い分であって、作中でそういう言われ方はしてないんですよ。だから、「高松監督によると」として引用されているのならともかく、キャラの解説として出されると、それは違うんじゃないかと違和感が。

■エニル専用ジェニス(p69)
 すいません、GXファンやって5年になりますが、この呼び方初めて聞きました。GX的には『ジェニス改・エニルカスタム』でしょー。『シャア専用』とかじゃないんだから、従来の呼び方踏襲して欲しいです。……ってま、本編では使われてないんであくまでムックレベルの『従来の呼び方』でしかありませんが。

■オルバ・フロスト(p73)
 「一卵性双生児であるフロスト兄弟の弟」って……(滅) どこをどう見れば一卵性なんだ? どう見たって二卵性でしょーが。ボンボンの公式MSカタログでの『似てない双子』の方がはるかに正しいです。
#よく見たらその公式MSカタログにも「一卵性双生児」って書いてましたわ(^x^;

■エピソード紹介(p76〜p80)
 GガンやWのページよりはマシかもなんですが、背景に対して文字が読み辛いです。もうちょっとなんとかならなかったものなんでしょうか。で、それでも読んでいくと最終ページ、GXのメタフィクションについて触れられてはいるんですが、『GXのニュータイプ』=『ファーストGのニュータイプ』というのはちと違うんじゃないかと。そこで『メタアニメ』の言葉を使うなら、『GXのニュータイプ』=『ガンダムそのもの』の方が妥当と思われます。たかだか『ニュータイプ』どころでなくて、『ガンダムそのもの』をばっさりとやっちゃったというのが肝なんですから。……つーか、LD最終巻の高松×川崎対談くらい読んで(T_T) と言っても今となっては酷か。

 でもなー、メタフィクションな部分ってGXの縦糸の1本にしか過ぎなくて、基本はどこまでも「未来を変える力とはニュータイプのような異能者の特殊能力ではなく、未来を見据えて走るガロードのような真っ直ぐな意思によるものなのだ」でしょ? 別に『ニュータイプ』の概念までは否定してないんですよこの話。あくまで、そんなもんに頼ろうとするのがよろしくないのよ、と言ってるだけで。『ニュータイプ』というコトバを捨てようとしてるのは、そんなコトバがあればそれに頼るからに他ならず。

 ……とかうだうだ書いてしまうものの、ある意味ではこの本には相応しい記述なのかも知れないとは思うんです。『見なくても大丈夫』と思うようなひとが読者として設定されているのであれば、読者の望む文章がコレなんだろうなぁと。←つまりわたしは想定されるべき読者ではないんですよ。

■「あの女性も待っている」(p135・第十九話サブタイトル)
 いやその台詞は確かにガロードがその話で言ってるけど、第十九話のサブタイトルは『まるで夢を見てるみたい』です(T_T) 一瞬何かと思いました。p154は正しいのに。まさか仮タイトルとか?


 他にも細かいとこあるんですが、ま、結論を言うと、この内容で『見てなくても大丈夫!』とはとても言えない……というか、この本読んで『見てなくても見た気になる』のは危険じゃないかと思う次第で。でも危険だ、と思うのはわたしがGXファンだからであって、『見るつもりはないけど一応押さえとくべきか』と思う程度の人が読むには今一番適当な本(というか他に選択肢が無い)というのが悔しいです(T_T) 頼むから、この本の内容全部そのまま鵜呑みにしないでくれ! と声を大にして言いたいんですが、何分発行から時間が経ってますんで。

 何か『見てなくても大丈夫』なのはライター氏なんじゃ? みたいな気もしますが(^x^; つくづく思うんですが、なんであの素晴らしい一冊がアニメディアの付録だったんだろうかなぁ……しくしく。コミックボンボンスペシャル「機動新世紀ガンダムX公式MSカタログ」も良いんだけど、もう無いよなぁ。しくしく。

 しくしくと言えば、ビデオ/CD/小説解説のページ。いや記述は短いながらも正しいんでツッコミは入りませんが(寧ろジャケット写真大きかったりなど愛が感じられて嬉しい〜)、改めて見直してGXの小説出てないのが悔しいなぁと。そういう意味でのしくしくです。Gガンの『ガンダムファイトの名場面で構成されたビデオ2本』は『ばっちしV』シリーズですね。持ってます〜ふふふ。

 で、GXじゃないんですけどGガンのキャストリスト(p151)で、『ウルベ少佐:飛田達男』という誤植が。凄い、こんなの初めて見ました。他のページはちゃんと『飛田展男』になってるんですが。ただ、今この文章書いてて、『たつお』を変換しようとすると、候補1が『辰男』だったので、これと間違えたんだな〜というのは分かるんですけどね。以前徳間書店のGガン本で『辰男』→『龍男』というのもありましたし。あのお方の名は『展男(のぶお)』です(T_T) もう来年デビュー20周年なんだからそろそろきっちり覚えて貰いたいです〜とほほ。 って何やら愚痴ばかりですみませんです(_o_)


(0112.28)


 文中の日付からさらに半年経ってしまってますが、いやはや、ここまでつっこみ甲斐がある本もないかなーというか、実際にはこれ以上のものが溢れてて、つっこむ気も失せているのが現実なんですが。はぅ。でもGXってほんと今手に入る資料が限られているので、こうしてご紹介してみた次第です。
 文中、GX年表について触れてますが、この年表の原版は こちら をどうぞ〜。


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