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アルジェントソーマ・小説版と漫画版と

書籍で出てるのは小説版と漫画版のみ。
ムックの類はないんで、DVD封入のライナーだけが資料らしい資料ですよ(i_i)
DVD特典のカード見る限り結構掲載されてたみたいなんで、当時のアニメ誌漁るべきでしょーか。


アルジェントソーマ〈1〉忘れし人の心をもつ少女
野崎 透
角川書店
2001-01


by G-Tools
アルジェントソーマ〈2〉愛する者をもつ怪物
野崎 透
角川書店
2001-04


by G-Tools


■ 小説版/野崎透(角川スニーカー文庫/0102.01-0105.01)
 「1・忘れし人の心をもつ少女」「2・愛する者をもつ怪物」の全2巻。1・2の表紙と2の口絵は月刊ニュータイプ用描き下ろしの転用。1の口絵は描きおろしの模様。1の表紙は最初期のものだからかリウの右目が青くなってますけどこれはこれで好き。2の表紙はタイトルで見えない部分に、原画では宇宙工学科41期生のペンダントがあります。ってよく考えると謎な絵かも。何でそれ持ったままなんだよ、リウってとこが。

 しかしアニメ本編とはまるで話が違うんですねぇ。いや文字モノだからこそ描かれているものもありますし、ストイックな雰囲気は寧ろ文字モノであるが故に強調されてるかもって感じですし。……いやある意味ではアニメ本編以上に少女マンガかも知れんと思えるような展開もなくはないんですが。リウの訓練が3ヶ月掛かってるとかいうあたりは、週1放送のアニメじゃやっとれん展開だわな、とも思うんですが、このおかげで、成長ものっぽくもなってます。あとやっぱ空中戦描写とか、あー久し振りにこういう文章読んだ、という気分になれて良かったし。つか、アニメ見てて「主人公強くねーじゃん」とかってあたりに物足りなさを感じた向きは、この小説版でそのあたり補完できるかも。ギネビアと組んでるとこは出てこないんですが、ダンやスーと組んでしっかりエイリアン撃墜しとります。というのも小説版ではリウとEX-1との再会までに1年掛かってて、それ以前にザルクだけでちゃんとエイリアンやっつけてるからでして。アニメじゃEX-1の方が先にフューネラルに来てるんで、リウが着任した後は「行け、フランク!」状態だから、実はリウのエイリアン撃墜スコアは画面に映ってる限りではゼロだったり(^^; 小説版に話を戻せば、リウは最後はちゃんとEX-1とも組んでますね。そういやフランクって名前の扱いも違ってますな。あとアニメ本編ではタクトが元気な怪我人っぷりを披露してくれてますが、小説版のリウがまた凄くって、ついあんたは異能生存体ですかとか聞きたくなりますが。←でもキリコちゃんにはさすがに勝てないと思う(^^;

 んで、ザルクはエイリアンの死体そのものを使った兵器だという設定から話を起こすと、無くした頭部の代わりをパイロットに求めた結果、パイロットはエイリアンとの交感を果たしてしまうというこの展開はアリだよな〜どころか寧ろこういうのは好き。あとSFなら、このユーリ/フランクとハティの交感は遺伝子操作が絡んでいるとか、いやそれ以前にその根源がね〜とかって流れになるのかなーとも思うんで、これはこれで良いかなと(でも結局ハティに関しては謎が残ったままのよーな……)。巡礼ポイントへの到達絶対阻止、の理由も1つ増えてますし。そういう意味ではアニメ本編よりSF度は高いんで、そういうのが好きな人にはおすすめかも。このあたりはさすがアニメでの「スペシャルコンセプター」の肩書きは伊達じゃないってとこなんでしょうか。あーでもこの方といえば「ガサラキ」だったよなーと思うと、小説版のみに出てくる地球の状況描写(フューネラルには優先的に配給があるが他は相当困窮している)ってのも頷けるところ。ま、そりゃそーだよなー……荒廃した未来ってのは近年のSFのお約束だし。国連軍と米軍の関係とかも、アニメじゃ描き難いかなーとも思いますし。ただま、あとがきの照れ隠しは分かるけど、もうちょっとファンサービスを覚えても良いんじゃないかとは思うんですがね。

 で、このオチはこのオチで好き。アニメ本編はハティ→リウだけど小説版は寧ろリウ→ハティって……光源氏かいって感じですが。いや、フランクが去っていくのは同じだけど、その後もリウはハティの側に居て「いつまでも、待っているから……」ってのは、年齢的にもマキのことを考えてもどう見たって光源氏と紫の上だろと(^^; でもほんとリウのハティへの感情の流れも案外素直なんで、リウ→ハティを堪能したい人は小説版も是非是非。

 ただそういう展開だからというのもあるんだろうけど、小説版のリウは結構まともな人に見えるかなぁと。アニメ本編が外向きに切れまくって当り散らしてる分、小説版での内側に溜め込んで溜め込んで溜め込んで爆発させるリウは随分別人な印象で。そいやリウ→ハティ展開で萌えてると、アニメ本編ではついぞ登場しない銃を構えるリウなんて出てくるんでこれは萌えですよ。ってハティばっかり言及してますが、マキちゃんにも当然萌え。ま、文字モノなんで文章で全て表現しなくちゃいけないから、どうしても饒舌にはなりますけどね色々と。でもこれもまた良し。

 最初の読後感想は、「でもやっぱアニメ本編が一番好きかなーと思うのは所詮少女マンガスキーだからなのか?」でした。いやま、アニメと同じものを求める方が筋違いではあるんですがね。小説版だとノグチ博士の出番もちょっとだし、何しろMr.Xが不在だし(でも却ってリウの背後は分かりやすいかも?)、それに本編より「予定の早まった」ギネビアと、マイケルが途中で戦死してしまうというのはやっぱねぇ……(i_i) しかもその理由ってのがあーた。それとフランク/ユーリが。ううううう。とか何とか言いながら、読み返す内に評価が上がっていくようで、これはこれで好きです、はい。読めてよかったです。

 因みに挿絵は深野洋一さん。この方の絵もB-CLUBの頃から好きだったので何気に嬉しい。この方の手に掛かればエイリアンまで何気に少女マンガしてて良いぞ!


■ 漫画版/現津みかみ(角川コミックス・エース/0105.01)
 6回連載全1巻ということで実に大胆にぶったぎって構成し直してます。絵柄も展開もあっさり風味ですが、ほぼアニメ本編準拠で分かりやすくて良くって、コミカライズとしてはこれで正解かなと。いやほら、これ少年誌連載だし。←散々少女マンガだと言っているのに(^^; えーと、カラー口絵のタクトとマキちゃんに萌えました。あっさりとか言ってますけどこの方の絵柄も好きです。はい。

 その構成変更に関しては、本編でPhase:02に相当する、ハティとフランクの出会いから話を始めて、その後リウがフューネラルへ来てから、モルグでの出来事を毎回少しずつ振り分けて回想してるのはえぇですよ。これ読んでると、アニメもPhase:02を初回にした方が良かったんじゃ? とさえ思うほど。そう考えるとダグラムとかVガンの#01ってのは正しかったんだなぁ、あれで。

 ノグチ博士の言葉がアニメ以上に全体を貫くキーになってるような印象さえあるのが、ノグチ博士スキーとしては嬉しい。けど、「教えてくれ! マキはお前に何て言葉を残したんだ!!」に対する返事が「言葉は溝を埋めてくれる」というノグチ博士の言葉じゃあなぁ(^^; そういえばp.112のマキちゃんの台詞「楽しかったら行かないよって、それじゃ意味が逆になっちゃいますですよ……(i_i)

 でもMr.X居ないのは寂しいなぁやっぱり……って、あの方出てくるとややこしくなるから出せっこないんだが。漫画オリジナル展開でのリウとハティの初対面→ザルク5への流れとか、リウの独り言を黙っててくれるダンに萌え。傷痕の血ぽたは微妙に謎だが、描きたいことは分かるのでとりあえずOK。あとやっぱ「いくつもの体を得てもかなえられない望郷の念は……さらに大きく……強くなっていく」というネーム。うん。これは好きだ。こちらも読めて良かった。


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