report
REPORT TOP



《RELAX》4th stage D・N・P
Doctor・Nurce・Patient HEART & BODY
《RELAX》/9708.7-10/明石スタジオ@高円寺/作・演出:EMI

■キャスト
 セーラ・ブライアント(勤続10年の看護婦):孫世理
 スーザン・スペンサー(精神科医):山田美穂
 ミア・ジョーンズ(新米看護婦):半場友恵
 レイモンド・ニールソン(外科医):とべこーじ
 スタン・ヒル(内科医):飛田展男
 ポール・ホフマン(弁護士):佐藤丈太
 トム・リード(検事):伊藤栄次
 シドニー・マイルズ(末期ガンの患者):中田篤
 声の出演:菊地いづみ

■おはなし
 レイテ総合病院で、腕利きの外科医レイモンドが手術をしたその晩に、末期ガンの患者シドニーは死んだ。他殺と判断した検察はシドニーの担当看護婦のセーラを容疑者として拘束したが、彼女は一回目の陪審の後すっかり口をきかなくなってしまった。弁護士はセーラの同僚のミアに事情を聴こうとするのだが、彼女と共に、シドニーの主治医であったスタンが現れた。彼は、レイテ総合病院の次期院長と目されている内科医で、セーラがかつて自閉症で施設に入っていたことを打ち明け、彼女を病院送りにする代わりに無罪を勝ち取り、病院の体面を保とうと弁護士に話す。それを別室で聞いていた同病院の精神科医スーザンは、独自に調査に乗り出した。スーザンのおかげで、セーラは自閉症を克服していたことが判明する。セーラはただ、自分にとって大事な人であったシドニーが死んでしまったために、心の整理がなかなかつけられなかっただけなのだ。セーラの証言からでは、彼女が「死にたがっていた」というシドニーの「自殺幇助」をしたとは考えられない。では何故シドニーは死んだのか?検事のもとへ掛かってきた匿名の電話の主は誰か?「レイを巻き込むな」と言うスタンは何を知っていて、誰をかばっているのか?

 ミアはレイモンドに尋ねた、「病院とは生きる為に戦う場所なのだから、それをしないのはドクターの患者である資格ははないのですよね?」と。そしてスーザンはレイモンドに言う、「あなたは薬に逃げているだけだわ」と。レイモンドは精神安定剤の瓶を開けていつものように薬を手にとり、そしてそれを戻して蓋を閉め、くずかごに投げ捨てた。ミアは何かに苦しみ、ひところのセーラのように心を閉ざしてしまう。そんな彼女を、ひとりの男――スタンが見守っていた。

 病院に検事と弁護士が現れる。スーザンが何か嗅ぎ付けた結果かとスタンは思うのだが、連絡を付けたのはレイモンドだった。シドニーの死因は、痛み止めのモルヒネの超過投与による急性中毒――つまりは医療ミスだったのだ。指示をしたのはレイモンド、その指示に従って投与をしたのはミア。それをレイモンドは自ら打ち明けたのだ。セーラの容疑は晴れ、シドニーの遺族も彼を苦しみから開放してくれたのならと病院を訴えることはなく、和解に落ち着いた。

 病院に花束を抱えて弁護士が現れる。レイモンドはスーザンに会いに来たのかと茶化すが、スーザンは彼の一番上の姉の娘つまり姪であった。彼はセーラを迎えに来たのである。そうこうしているとやはり日勤のミアとスタンが白衣を脱いで病院を後にしてゆく。残されたレイモンドとスーザンは、昔に戻った風に、ワインを飲みに行こうかと意気投合するのであった。

 スーザンがワインのラベルを確かめている。検事とシドニー、そして登場人物達が手にグラスを持って現れてスーザンからワインを注いで貰う。最期にレイモンドがグラスを2つ持って、まずスーザンからワインを注いでもらい、もう一つのグラスをスーザンに渡してそちらにはレイモンドからワインを注いだ。皆は集まって乾杯をし、テーブルには空のグラスの列と、1つだけワインが注がれたままのグラスが残されていた。

■感想
 カーテンコールを兼ねた形のラストシーンが綺麗だったのでそこまで書いてしまいましたが、いやほんとに良かったです。1つだけグラスにワインが残っていたのはシドニー(死人)の分だろうか?なんて言ってましたけど、あるいはもうひとりの出演者である観客に残されたワインなのかも知れません。単に絵的に綺麗だからというのもアリでしょうけどね。

 音も良かった。実に良かった。明石スタジオの設備が良かったのか?柔らかく、そして舞台にぴったり合ってました(という感想を過剰に抱いてしまったのは、この少し前に見た他の芝居の音響が気に食わなかったからなんですが)。サバン症候群(自閉症の症状の一種で、光や音に異常反応を示す)の表現とか、ラストの「The Long and Widing Road」とか。さすが音響が津曲さんだっただけのことはあると申しますか(^^)照明の使い方も良かったですしね。舞台の配置的には、一番前でセーラやスーザンがしゃがんでしまうと、余程前でないと見えないというのは、問題かなと思いましたが……。

 スーザンは格好良いし弁護士は可愛いおじさんだし、レイはとべさんにしてはちょっと珍しい役目でなかなかでしたし、検事も堂々としていて良かったし(最前列にいたせいで「あなたもそう思うでしょう?」と陪審のシーンで顔を覗き込まれてしまった)、セーラの心の表現も綺麗だったし、シドニーは素朴な死人ぶりというかなんというかで最後の「私は幸せでした」が印象的だし、ミアは命ちゃん(ガオガイガー)だし(^^;、スタンはイヤミでたかびーなのに恋の前では不器用極まりない男で、指先の純情と背中の葛藤が素晴らしかったし。はぁぁ……わたしは幸せでした。

■うらばなし
 この頃は、リュミエール様のCDシングル(飛田さんの初のソロCD!)が出た直後だったので、皆このCDにサインを入れていただいていたかと思います。どなたかがちゃんと青いマーカーを持ってきていたのが印象的でした。どんなお話をしたかはちょっと思い出せません……。

 この年から、飛田FCの形態が郵便ベースからNIFTY SERVE内のPATIOに移行しました。NIFTYというと、声優フォーラムの「紫のバラの部屋-声優さんの舞台の話題」会議室にも情報を出したら、それで見に来てくださった方もいらっしゃって嬉しかったです。

 この年はさながら「それゆけ!舞台貧乏」という感じで色々芝居を見に行きました。「紫のバラの部屋」絡みあり、特撮フォーラムの「素顔のままで−特撮俳優さんの話題」会議室絡みのものもありってその2つに集約されるやないかい(^^;というものでしたが、《RELAX》の面白さは群を抜いていたと思います。勿論他の芝居もそれに応じた面白さはあったのですが……。


REPORT menu
REPORT TOP