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《RELAX》第5回公演 ペナルティー・マリア
《RELAX》/9806.18-21/シアターゆたか@新宿/作・演出:EMI

■キャスト
 マリア・ブラウン(死刑囚):清水スミカ
 マリア・アンダーソン(弁護士)孫世理
 グレース・ハワード(被害者ミリアムの姉):岡本嘉子
 フランク・アダムズ(弁護士)&ジョー・ブルックス(死刑囚の幼なじみ):伊藤栄次
 ルイス・フォード(検事)&ロジャー・ブラウン(死刑囚の兄):戸部公爾
 ボビー・ウィルソン(被害者)&ジョン・ウィルソン(被害者ボビーの父):飛田展男
 アダム・スミス(刑事):広田豹
 ミック・リー(看守):中田篤
 ケイン・ハワード(被害者ミリアムの兄):鳥海勝美

■おはなし
 死刑囚マリア・ブラウンは、死刑宣告にも臆することなく、寧ろ死を望んでいるようだった。フランクは彼女の弁護など出来ないといい、マリア・アンダーソンが引き継いで周辺の調査をはじめた。次第に、マリア・ブラウンこそが周囲から追いつめられた被害者であり、彼女の恨みの対象は寧ろ遺族たちであることが分かってくる。マリア・ブラウンが死んでも遺族の悲しみや憎しみは消えることはない。それこそが彼女の復讐だったのだ。マリア・アンダーソンの弁護により、マリア・ブラウンは終身刑に減刑された。生き続けることは償いになるのだろうか?

■感想
 朝日新聞の「変換キー」というコラムで紹介された通り、後味が良いとは言えない物語です。ですが、つまらないとかいうのでは決してなく、面白いんだけど問い掛けられたものの大きさについ打ちのめされてしまうというのか……。《RELAX》の芝居に慣れていると良いんですけど、これが《RELAX》初体験だとちょっと辛いところがあるかも知れないとは思いました。脚本は、第4回日本劇作家教会新人戯曲賞優秀賞をとられたのだそうです。EMIさんってどうして毎年こんなハイレベルな脚本を書けるのだろうかとほんと感じ入ってしまいます。

 芝居としては、飛田さん・戸部さん・伊藤さんという《RELAX》の三枚看板役者による一人二役の面白さがとても良かったです。何しろ舞台の上で着替えちゃって別人になってしまうのですから!翌年販売された脚本によると、初演キャストでは被害者ミリアムも岡本嘉子さんだったそうなので、事実上一人二役なのですが、ミリアムは1カットくらいしか出ませんでしたからね。

 飛田さんの場合、息子から父親に変わったとき、椅子の位置を直してそれに腰掛けるという場面がありました。いわゆる暗転だったのですが、この時は若干照明を落とした程度で、わざと着替えを見せていたんですね。その場面で、椅子を持つ動作から歩き方から、既に父親になっているのです。薄暗い場面だから見えていないも同然なのに、ちゃんと見せる芝居をしているのです。さすがです。「声優さんの芝居」ともなると、声の演技に注目されてしまうものなのかも知れませんが、飛田さんの場合、こうした「声の入らない芝居」がとても良くて、ついつい舞台に通ってしまうのです。もっと見たいなぁ。

 とかいいつつ、息子の声が殆ど「FAKE」のリョウみたいなお声で、「息子の出番が少ない〜もっと聴きたい〜」などとも話してしまっておりました。

■うらばなし
 この時のサイングッズ(ぉぃ)は、PS版「機動戦士Ζガンダム」のディスク。ほんとは表面に字を書いたりしてはいけないんですけど、帰宅して確認したらちゃんと認識されましたから結果オーライ(よい子は真似をしないように)。毎年通っていると、「今年は何にサインを入れて貰いましょうかね?」という話題が出るようになります。やはり飛田さんには色々ご迷惑をおかけしているのかなぁとも思うのですが、それでもその折りの旬のものをお持ちしてその感想もお話したいと思ってついやってしまうのですね。飛田さん、本当にいつもすみません。で、出待ちの話は……ひたすら一人二役に感嘆したのをお話していたような気がします。


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