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ドーザ様の日記



Doza's Diary
第十七話「あなた自身が確かめて」より




○月△日 はれ
 きょう、ぼくは「せんちょう」になりました。
 ずっとなりたかった「せんちょう」になりました。
 「せんちょう」になったら、「こうかいにっき」をかくのです。
 「こうかいにっき」をかくのは、ぼくのあこがれでした。
 それは、「せんちょう」にしかかけないからです。
 ぼくは、すごくうれしいです。
 このきもちをなんてかいたらいいのか、よくわかりません。
 きょうのにっきはこれでおわりです。

○月×日 あめ
 きょうは、「でぃーはんと」をしようとおもっていたのに、あめでうみがおおしけで、「でぃーはんと」ができませんでした。
 しょうがないので、おさけをのんでいちにちむしゃくしゃしてました。
 あしたこそ「でぃーはんと」ができますように。

○月○日 はれ
 きょうは、ぜっこうの「でぃーはんと」びよりになりました。
 みんなでいるかをおいまわして、たくさんいるかをとりました。
 これで、いっぱい「でぃーなび」をつくれば、おおもおけです。
 みんなでおさけをのんで、わいわいさわいでいました。
 きょうはとってもたのしかったです。
 あしたは、ひみつきちへいくつもりです。
 そこで、「でぃーなび」をつくるのです。

◆     ◆


 ドーザ・バロイは青い表紙の日記帳を閉じると、『フフン、』と鼻を鳴らすようにほくそえんだ。明日は彼らの拠点である島へ入港し、捕獲したイルカを工場へ搬入してDナビの生産に取り掛かる。今日のDハントの成果は絶大で、Dナビの売上を考えると、しばらく左団扇で暮らせそうな数のイルカが手に入った。

 だが、彼はそれでよしとはしなかった。Dナビの寿命が短く、常に新しいイルカが必要だという事情もあった。しかしそれ以上に、海を読みつくし、イルカを追いまわすDハントの瞬間瞬間こそが、彼の生の証であったからだ。島へ入港すれば乗員には上陸休暇を取らせてやり、船の整備と物資の搬入の傍らDナビの生産を待つ。準備が出来ればまた海に出て、オルク仲間にDナビを売り渡し、そしてまた次のイルカを求めて海をゆく。その繰り返しだった。


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