Camille Laboratory Top機動新世紀ガンダムX>創作小説>ドーザ様の日記

△月○日 はれ
 きょう、しろいいるかをおいかけてたら、おんなのこがひとりでぼおとにのっていたのをみつけました。
 おもしろいので、おいかけていたら、「がんだむ」がでてきました。
 「がんだむ」ばっかりいっぱいでてきたのはいいんだけど、ちっともつかまえられなくて、もうむしゃくしゃしました。
 こんなにむしゃくしゃするのは、しろいいるかなみです。
 いつもいつも「でぃーはんと」のじゃまをするあいつとおなじくらいはらがたちます。
 「がんだむ」、「がんだむ」って、「がんだむ」のなにがえらいんだとおもいます。
 だいたい、「がんだむ」が、このうみをむちゃくちゃにしたんです。
 「がんだむ」はたしかにつよいのかもしれません。
 でもうみでいちばんつよいのは、このどーざ・ばろいさまなのです。
 あしたこそ、しろいいるかも「がんだむ」もつかまえようとおもいます。

◆     ◆


 ジャミルは青い表紙の日記帳を閉じると、深い溜め息をついた。
 特殊な能力を持つが故に追い回され、そして心を閉ざした白いイルカ。『彼女』を助けるために、フリーデンはDナビに関係していたオルクと一戦を交え、これを撃退した。北米に居た頃にもバルチャー同士の抗争はよくあった。そして、勝った方が負けた方を『獲物』として扱うのが常だった。それが、この戦後世界で生き抜くための術だったからだ。

 しかし、このオルクに関しては、ジャミルは彼らの船を『獲物』にするのをためらった。あまり良い気分がしなかったからだ。そこで、馴染みのシーバルチャーに連絡を取ると、彼らにこの『獲物』の処分を任せることにした。

『良いんですかい、ジャミルさん。折角の『獲物』なんですぜ?』
 モニターの中の顔が、不思議そうに傾いでいた。
『あぁ、構わない。先も急ぎたいし、何せ海は君たちの縄張りだからな。』
『そうですかい。』
『その代わりに、合流する際に物資の補給と情報の提供を頼みたい。それなら良いか?』
 ウマすぎる話に渋っていた彼も、このジャミルの申し出にうなづいてみせた。
『お安い御用でさ。』

 彼らが合流するまでの間に、フリーデンのクルーで船内の調査をすることにした。大まかな見積もりを出しておけば、シーバルチャーの方もその後の話が進めやすいし、フリーデンとしても、オルクの実力というものをもっと知っておきたいという事情もあった。ジャミルは硝煙の臭いの残る船長室に入ると、表紙にでかでかと『こうかいにっき』と書かれた青い日記帳を見つけて、ふと手に取ってみたのだった。

 何故か、悲しくなった。
 恐るべきオルクの記録であるはずなのに、こんな文面を読むことになるとは意外すぎて、何故か悲しくなった。


 ──だいたい、「がんだむ」が、このうみをむちゃくちゃにしたんです。


 ここへきて、こんな文面を読まされては、言うべき言葉も見付からない。
 ジャミルは日記帳を携えると、オルクの船を後にした。

(0108.09)



あとがき

 海編前半・イルカ編のお話〜も何も、ひたすらドーザ・バロイ様。『きゃーっ、飛田さんよ飛田さんっ!』と本放送当時大騒ぎしましたが(^^; いや結構好きなんですよドーザ・バロイ様。自分の名前を様付きで呼ぶなるしーなとこといい、しーするーでせくしぃーなお召し物といい自己愛入っててよろしいじゃあーりませんか(^O^) とかなんとか。ただ最初はお笑いにしたかったんですけど、こういう話になったのは愛ゆえでしょうか。

 しかし、「何故いきなりドーザ様?」と皆さんに驚かれましたが(^^; いやだから好きなんで。はい。多分他に誰も書かないだろうし。で、ドーザ様で書くなら「ドーザ様の日記」しかあるまいと。「青い表紙の日記帳」というのは飛田つながりのお約束ネタ(→カミーユの日記)です……ってあたりが、何とも。でも、そういうネタの部分はともかく、「意外にドーザ様って良いかも」と思っていただけたようなのが、嬉しい限りでした。彼もまた、戦後世界の海で、必死に生きていたんです。それは、間違いようもなく。


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