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機動新世紀ガンダムX
>創作小説
七つの夜、
七つの夢
Seven nights, Seven dreams
第五話 「銃爪はおまえが引け」より
一 少年の夢
ガロードは、以前彼が居た独房よりはずっとましなベッドで眠り込んでいた。無理もない、色々なことがありすぎて一度に疲れが出てしまったのだろう。しかしその寝顔には安堵の表情が見えていた。――何事も初めての体験だった。誰かのために、何かのために動こうとしたことなど、これまではなかったのだ。仕事の依頼を受けたことはありはしても、それはあくまで自分のためのこと。なのに、自分を待っていたと告げたティファがライク・アントに向けたあの怯えた瞳に突き動かされて、彼女を守ろうと、そしてさらわれた彼女を助けようとしてこんな所まで来てしまった。
でも良いとガロードは思っていた。助け出したティファはその面に微笑を取り戻し、今同じ艦の中に居る。ティファがそばにいてくれること、いや、ティファのそばにいること。ティファが穏やかな笑みをたたえていてくれること、いや、悲しい顔をさせないこと。そのために自分に何かできること。それが今の少年にとっては、一番大切な夢だった。
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