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ゼーガペイン
>創作小説
こちらはC79冬コミ発行予定のゼーガペイン本
(同人誌)
「Quantum Leap 12 : call my name」のサンプルページです。興味を持たれた方は是非
出版課
をご覧ください。
outline of phantom
幻の輪郭
KYO & RYOKO, and TOHRU
the days after
最終作戦の後、カミナギ・リョーコは舞浜南高校の保健室に一人の少女を訪ねた。三年生のツムラ・サチコ。第一次オスカー攻略戦でデータが大破した彼女は幻体修復プログラムによってようやく再生されたのだった。
サチコが目覚めた時には、世界はまるで変わってしまっていた。オケアノスは月面に墜落し、舞浜サーバーのループは一年に延長されていた。サチコの旧知のミサキ・シズノは最終作戦でセレブラントとしての記憶を失い、今は普通の舞浜南高校の三年生。シズノのパートナーだったソゴル・キョウは肉体を取り戻して、一人で現実世界で暮らしている。ガルズオルムとの戦いはまだ終わっていないが、以前よりは平和になったのだとリョーコは告げた。
「浦島太郎みたいなのよね。舞浜はそのままなのに、私だけ置いていかれた気分」
サチコはそう言って力なく笑った。リョーコにも自分だけが入学式に出られずに違和感を覚えた経験はあるので、『分かります』と呟いた。
「それで訊きたいことって? カミナギさんの方が私より何でも知っているでしょう」
「ツムラ先輩しか知らないことを伺いたいんです。舞浜でのカノウ先輩のことを」
リョーコの挙げた名前にサチコは息を呑んだ。サチコのデータが大破した戦闘で、パートナーのカノウ・トオルはロストしていたのだ。
「ガンナーとしてではなくて、映研での先輩のことを知りたいんです。それならお話してくれませんか」
リョーコの問いにサチコは目蓋を伏せて首を振った。
「悪いけど、まだ記憶も混乱してて」
「そう、ですよね」
気落ちするリョーコに、サチコは両手の指を組みながら言葉を探した。
「ごめんなさいね。カノウ君とは部活もクラスも違ってたから、話せることは元々ないの。私はセレブラントになってから──その、死ぬまで時間がそんなに長くなくて。その間、舞浜ではトウヤと居るようにしてたから」
サチコは俯き加減にそう話した。サチコが一年生のハヤセ・トウヤと付きあっているのはリョーコも知っている。好きな人と共にありたいと思うのは当然のことだ。
「私こそごめんなさい、やっぱり訊くべきじゃなかった」
「良いのよ。何か思い出したら、ちゃんと話すから。それより、カノウ君のことはソゴル君に訊けばいいじゃない」
今は自分がキョウのパートナーだと、リョーコはサチコに告げていた。
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