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アーガマ
重大事件



A serious matter in Ahgama




 その頃アーガマは、補給のためにサイド2に寄港していた。
 一人二役以上を兼ねるアーガマクルーの例に漏れず、ブリッジクルーのトーレスとキースロンは、命令を受けて市街へと出掛けていた。あまり軍人らしくは見えない彼らの任務とは、個人嗜好品等の買い出しであった。
 アーガマに戻った彼らはブリッジで報告を済ませると、当直のサマーンに何事かささやき、そそくさと出て行った。
「何だ?」
 書類をめくりながらブライトが問う。
「さぁ……」本人もあまり良く分からないといった表情でサマーンは応える。「何なんでしょうね……」
 それでもサマーンはコンソールに向き直ると、ほんの少し、ほくそ笑んだ。

 トーレスは休暇中のはずのカミーユの部屋をノックしたのだが、返事がないのできっとMSデッキに居るのだろうと見当をつけた。案の定MSデッキでは、作業着のカミーユがΖに取り付いていた。
「何だよ、オフじゃなかったのか?」
 トーレスが声を上から掛けておいて体を流すと、カミーユは手を休めてコックピットハッチに腰を掛けて答えた。
「そうだけどさ、ここの所ゆっくりいじってやれなかったからね……何か用?」
「いやさ……耳貸せよ、」
 トーレスはカミーユの耳元で声をひそめた。
「な、いいだろ?」
「いいけど、本気?」
 カミーユは訝しげに問う。
「あぁ、俺達はいつだってそうだろ? ――じゃ、後でな」
 トーレスはリフトグリップへ流れたが、その背へカミーユが声を掛けた。
「待てよ、俺も上がる!」
 二人がプレデッキへ姿を消したのも知らず、アストナージはΖの周りをうろうろしていた。カミーユに頼まれた資料ディスクを見つけてきたのに、肝心のカミーユが居ないのである。
「珍しいこともあるもんだ、あのカミーユがΖを放り出すなんて」
「カミーユならさっき、トーレスと上がっていったわよ」
 アンナの言葉に、アストナージは不思議そうな顔をした。
「トーレス? 何であいつがこんな所に居たんだ?」
「さぁ……。カミーユに用があったみたいよ」
 何かあるな。アストナージはそう思ったが、とりあえず仕事を一区切りつけることにした。


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