Camille Laboratory Top機動戦士Ζガンダム>創作小説

eyes on you



Camille & Fa in UC0102




「どうもありがとう、こんなに沢山大変だったでしょ?」
 そう言いながら、ファは大きな袋から次々とナナのホンコン土産を出してテーブルに並べた。香辛料やお茶にお菓子。別の小振りの袋は中身を確かめてまた封をする。今日が非番で家に居て、自分で直接受け取れてよかったと内心思う。
「気にしないで、こっちも結構楽しかったから。」
「やっぱり本場のは違うのよ。こちらでも手に入らなくはないんだけどね……」

 土産話を聞きながら、早速月餅を片手にジャスミンティを楽しむ。女同士の他愛のないお喋りが一段落したところで、ナナが手帳をめくって言った。

「あーそうそう、さっき主任さんのとこに寄ってきたんだけどね。」
「カミーユのとこ?」
 学生時代からもう十年来の仲なのに、ナナは揶揄するようにカミーユの名を呼ばない。そうすることで距離を置こうとする、彼女の意図はファにも分からないでもなかった。そのどこか子供じみた所が、良くも悪くもナナらしさではあるのだが。
「事もあろうにテオが一緒でねー。検診のこと言われちゃったわよ。また予約頼むわね」
 ナナがカミーユを訪ねたところ研究室には不在で、ふと覗いた喫茶部で彼は医療部勤務のテオと一緒にお茶を飲んでいた。テオは数日前ファと話した折に、ナナが市民検診を受診していないことを聞いたらしく、そのことを指摘したのである。
「分かったわ。何時なら都合つくの?」
 その場を想像しつつファはくすり、と笑うと、手元に寄せた端末に指を走らせる。市民検診の予約画面を呼び出してナナに見せると、ナナは手帳と画面を見比べた。
「えと……来週の金曜の午前中かな。」
「この日ならわたしも居るから声掛けてね。じゃ、予約ってことでID入れて貰える?」
 キーボードを渡されてナナがIDを打ち込むと、即座に『予約完了』と画面が切り替わった。


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