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機動戦士Ζガンダム
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海
を見ていた
午後
──ファ・ユイリィの日記より──
Afternoon Sea
from GUNDAM ZZ #37 "Near Ahgama"
私がこの日記を見るのは何日ぶりなのかしら?
前々からカミーユがつけていたのを見つけて、しばらく彼の代わりにつけていた日記帳。アーガマに忘れてきてしまったのを、ジュドーが渡してくれた。
懐かしい字が並んでいる。
カミーユの字、私の字、その続きのジュドーの字。ブライト艦長の字も見える。
艦長の字は几帳面そう。航海日誌みたい。
ジュドーの字は元気そう。時々スペルを間違えたりしてるけど、頑張って書いたみたい。形式(?)はカミーユによく似てる。ある日などは、
『今日の俺を分かってくれるひとは、いるんだろうか?』
ただそれだけ。
ページを前の方へめくる。
涙でにじんでしまってよく読めないページがあった。
『忘れないで……!』
私の字。
隣のページにはカミーユの字。
『もう、元には戻れない。
俺は……何もかも忘れてしまうのかも知れない。
でもそんなこと、やりたくはない、許されない。
人の記憶なんて……!』
あの日……
『何もかも忘れてしまった』カミーユの部屋で見つけた日記。
「ごめんね」と小声で断って、ページを繰った。
いろいろ私の知らないことが書いてあった。
夢中で読んだ。
私は何もかも忘れたくはなかった、覚えておきたかった。知りたかった。
中にはショックなものも、あったけど……
カミーユの代わりに、忘れないでいたかった。
同じ意識と同じ記憶を持ちたかった……
カミーユにも私を知っていてほしかった。
だから──
あれから幾日も過ぎて。
私達は再びアーガマに乗った。
その艦が連れて来た空気に、引き寄せられるままに。 海まで出て行ってしまっていたカミーユを見つけて、アーガマのみんなと宇宙へ戻ろうとして。
ジュドーと一緒に艦長に呼ばれて、そこで日記を貰った。
『シンタとクムが見つけてな、しばらくジュドーに書かせて……大気圏突入からダカールのあたりまでは私が書いていたんだ』
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