Camille Laboratory Top機動戦士Ζガンダム>創作小説>陽炎の夏

「あの二人は、いつもあぁなの。」
 ジュドーとプルがきょとんとしているところに、シンタが付け加えた。
「よく言うじゃん。ケンカするほど仲が良いとか、フーフゲンカは犬も食わないとか――やばっ!」
 シンタがくるっと背中を向けて勢い良く走り出した。
「こらシンタ、何言ってんのよ!待ちなさーいっ!」

 ファがそんなシンタを追って走っていった。ファにおいてけぼりを食らった恰好のカミーユがクムに追い付いて、その頭をぽんっと叩いて自分の方を向かせて問いかけた。

「あれも照れの一種だと思うんだけど――やっぱりみんな俺のせいなのかな?」
 クムが答えにつまっている間に、ジュドーが殺し文句を吐いた。

「そぉ。みーんなあんたのせい。」
「……君に言われると言葉が重いよ……」
 ぼそっと答えて肩を落とすカミーユに、ファの怒声が飛んだ。
「そこ!怪我人が居るのよ、お喋りは後っ!」

 海を振り返れば、ゆらめく陽炎の向こうに懐かしい白い艦影が見える。岩場を登りきるのに少女の差し出した手を取って、少年はようやく家路につくことになった。

(9907.21)


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