Camille Laboratory Top機動戦士Ζガンダム>創作小説

い衝撃


Red Impact




 ガンダム・マーク2は元来ティターンズの専用機として開発された機体である。RXナンバーであることからも分かるように、試作機としての性格が強く、何故こんな機能まで実装されているのだろうかと思えるようなものまで備えられたりもしていた。それらのいわば『おまけ機能』については、マニュアルに詳細が記載されているものもあれば、マーク2の記憶装置に覚え書き程度の説明が残されているだけのものもあり、勢いカミーユなどはデッキでマーク2に掛かり切りという時間を過ごすことが多くなっていた。

 ところが先日カミーユは、そんなマーク2で初めての敗北を喫した格好になった。彼の窮地を救ってくれたのは新鋭機ゼータ・ガンダム。カミーユ自身の設計プランが参考になっていて、最初から暗に彼の専用機として開発されたといういわく付きの代物である。マーク2の損傷は軽微とはいえ、こうして新型機が到着したからには彼の乗機はゼータになり、マーク2は操縦経験のあるエマ・シーン中尉が搭乗することになった。とりあえずは応急処置だけ済ませてエマに引き渡したのだが、エマがこの度ラーディッシュに転属するにあたって、アーガマのモビルスーツデッキでは再度マーク2の整備が進められていた。

 カミーユに割り当てられた(というより彼自身が申し出た)作業はいくつかあったが、その中に不要ファイルの消去というものがあった。これを済ませてから記憶装置全体の最適化をしておこうという算段だった。その多くは彼自身が作った補足マニュアルであったり、戦闘メモリのバックアップだったりしたものだが、中には日付からしてティターンズ時代に作成されたと思しきデータもいくつかあった。

(これもそうだ……)
 一応全体のバックアップは済ませてあるので、古いファイルについては削除するつもりでまとめておく。なかなか終わらない作業に業を煮やしていた所に、この場には珍しい人物がやってきた。

「よっ、カミーユ。忙しいか?」
「何だトーレスか。見れば分かるだろう、」
 カミーユはモニタから目も離さずに答えた。トーレスはカミーユの巣になっているコックピットを覗いて、話を続けた。


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