Camille Laboratory Top機動戦士Ζガンダム>創作小説

恋愛症候群
 ──ミリィ・チルダーの日記より──



Milly's Diary
and Camille & Fa in UC0089




1.

 今日、とうとうジュドーさんとルーさんが行ってしまった。ちょっと羨ましい。
 木星へ行くのが、じゃなくて、二人でどっかへ行っちゃうのが。
 ──変ねえ。私がこんな事考えるようになるなんて。
 私、こういう風にはならないつもりだったのに……

◆     ◆

 こんな宇宙の時代になっても、女のメカニックってなかなか居ないもの。
 でも私は生来の男勝り。技術系の学校へ行って、めでたくあのアナハイム・エレクトロニクスに就職。配属は操縦系第三分室。ただそこの上司が言うには、女の子らしいカンが決め手だったって。フクザツな私。──そんな訳なのか、操縦系みたいな細かい所は女の子が集まってしまって、話の聞き手に回るようになった、と思ったら、戦争が始まった……

 話題は戦争のこと……もあったけど、女の子は前線の『カッコイイ』パイロットの話に夢中。色々な人の話があったけど、よくは覚えていない。

 戦争が激しくなり、『グリプス2の戦い』でエゥーゴはティターンズを壊滅させたものの、酷く消耗してしまった。三つ巴の戦いの一角、アクシズは戦力を温存している。戦争はまだ続くのだ。

 何とか生き残ったエゥーゴの旗艦アーガマと接触したラビアン・ローズから連絡があった直後、完成したばかりのメガ・ライダーを届けるよう言われ、私は慣れないランチの操縦桿を握った。そして、アクシズに捕まった。

 怖かった。でも、それまで漠然としか感じていなかった『戦争』というものが、少し分かったような気がした。ブライト艦長に正式にメガ・ライダーを引き渡し、ほっと一息ついたときに声を掛けてくれたのが……彼。

『凄いね、君』
『い・いえ……どうも、ご迷惑をおかけしてしまって……』
『そんなことはないよ。君があぁしてくれたから、アーガマは乗っ取られずに済んだんだ。』
『……』

 月まではわずかだった。
 でも、私には長いようで、短いようで……
 アーガマが地球へ降りると聞いた時なんて──
『地球行きの話、ね……辛いわね』
 彼、笑って。
『ミリィさんとのお別れが、何より辛いのさ。』
 私、つられて。
『アハハ……上手いんだからぁ。おごっちゃう♪』
 ほんと、上手いんだからぁ……

◆     ◆



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