ring-rang-rung
Char's Birthday in UC0087
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女というものは、強い。
心底シャアはそう思わざるを得なかった。
彼が今目にしているのは、うずたかく積み上げられたプレゼントの山、山、山。というのも彼の28回目の誕生日が、つい先日だったためだ。
アーガマクルーはサイド2で補給を兼ねた上陸休暇をとっており、女性クルーはこれ幸いとプレゼントを買い込んで彼の部屈を埋め尽くしたのである。御丁寧なことにパーティまで盛大に開いてくれるらしい。
「……この戦時下、しかも当事者の側にあって──という状況で……よくやる、」
あるいは、当事者だからこそなのだろうか。
そうは言ってもこのままにしておく訳にもいくまい。少し片付けてしまわねば。
そう思って彼は、やっかいな作業に取り掛かった。
あるあるある。色々な物がある。どうやって調べたのか、好みの物ばかりだ。中でも気に入ったのは、月下美人の鉢植えと年代物のスコッチ。パーティとやらの後にでもじっくりと楽しませて戴くとするか。
大方片付いた頃、彼は片手に収まるくらいの箱を見付けた。何故か気を引かれて、彼は包み紙を開けてみた。小さいながらも本物の木箱に収められていたのは、アンティークなガラスのベルだった。
「ほぅ……」
いかにも手作りといった感じのフォルムが嬉しい。やはり、年代物のようである。一通り眺めてベルを木箱に収めようとした時、小さなカードが彼の目に止まった。
MY DEAR,
HAPPY BIRTHDAY.
カードにはそれ以外何も印字されてはいなかった。首を傾げてはみたものの、誰も思いあたらない。
……と言い切ってしまうには語弊があるかも知れない。過去に一度、これに似たベルを貰った記憶があるからである。
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