そして約束の海へ
Series : Teardrops
それを涙と書くのはね、海へと戻る約束のためだよ。
Return to the Sea
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1 青の幻聴 〜UC0084〜
いつかあの海へ帰りたい、そんな事を思った。
でもそれが何処の事なのか俺には分からなかった。
白い壁の照り返しの眩しい校舎から、一つの影が姿を見せた。このミドルスクールが開校して初めての夏休みが今日から始まるということで、昼前だというのにキャンパスはがらんとしてしまっている。部活でさえ今日は休みというところが殆どだから、こんな光景は珍しいよな、とカミーユはひとりごちた。彼自身は別に学校の部活をやっている訳でもないから、今日になってようやくまとめたロッカーの荷物――元々そんなに置いていなかったから、たいした量ではないのだけれど――を抱え直すと、彼自身も初めて迎えるコロニーの夏休みへ駆け出していった。
だが、それは校門のところで小休止と相成った。
「何してるんだ、」
ファ・ユイリィがひとり佇んでいるのである。
「何って、カミーユを待ってたんでしょ。」
「何でさ?」
「一緒に帰るのに理由なんて要るの?」
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