Camille Laboratory Top機動戦士Ζガンダム>創作小説>夜と夢のはざまで

 ふと、フォウは自分を抱くように腕を回した。外の冷気が自分を包んだかのような、静かな寒気を感じたのだ。これは何? 足がすくんで立っていられずにベッドに座り込む、この不安は何?

 風が出てきたようだ。窓の外から低い音が響いてくる。訳もわからずガタガタと震えたまま、フォウは窓際まで寄って、外の白い世界を覗き込んだ。白い闇、心の中にあるものと同じ、暗く空いてしまっている穴。それが自分を包み込んでいる、ここには、誰も、居ない。

『寂しい……?』

 消えた夢、届かなくなったそれは――何? それがあったから私は今まで寂しくはなかった、なのにどうしてそれは消えてしまったのだろう。目を閉じて手を伸ばしてみても、それはただ空を切るだけ。わからない、何もわからない。それでも私はここに居る、私は、私だ。

 フォウは降りしきる雪を振り返ることなく、白い日常へと歩を踏み出していった。

(9811.11)



あとがき

 文中、フォウのムラサメ研での経緯に関しては、遠藤明吾(現:明範)著『フォウ・ストーリー そして戦士に…』(アニメージュ1986年2月号付録/2001.09.01角川文庫収録)を参考にしました。再版されたので改めて知ったという方もおみえだと思います。

 本来「夜と夢のはざまで」は、カミーユ側から見た、ホンコンからキリマンジャロまでのお話のはずだったんですが、カミーユ&フォウひいきの友人に書いてさしあげることになった折りに、フォウ側から書くことにしてみたものです。なんで、明確な彼の出番が殆どないという珍しい話になりました(^^; が、如何でしたでしょうか?


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