Camille Laboratory Top機動新世紀ガンダムX>創作小説>天使の梯子

 ガロードは自分の朝食を済ませて、もう一度ティファの部屋へ向かった。
「ティファ、いいかい?」
「どうぞ、」
 ドアを開けると、ティファが手紙に封をしているところだった。
「書けたのか?」
「えぇ。」
 ティファがどんな手紙を書いたのか気にはなるが、それはさておき。
「ゴメンな、朝御飯時だってのに。」
 トレイを持ちながらガロードが言うと、手紙を片手にティファも腰を上げた。
「いいえ。これ、持っていけばいいの?」
「あぁ……いいよ、俺持って行くよ。」
 手紙を受け取ろうと手を差し出すガロードに、ティファはゆっくり首を振った。
「一緒に、行くわ。」

 ティファと並んで歩いている。
 トレイを持ったままだから手はつなげないけれど、本当はそうしたいくらいの距離にティファが居る。
「ガロード?」
 妙に固くなっているガロードに、ティファが声を掛けた。
「ん? 何?」
「どうか、したの?」
「いや? どうもしないよ。あ、ここで待ってて。トレイだけ置いてくるからさ」
 そう言ってガロードは食堂へ走って行った。
 ティファがくすり、と微笑んでいるのも知らずに。

 食堂からティファのところまで戻ってきて、ブリッジへ行ってシンゴに手紙を渡した。
「ご苦労様。じゃグリーツさんとこへ届けてくるよ。」
 シンゴは後半はトニヤへ言うと、ブリッジから出て行った。
「行ってらっしゃ〜い。……ねね、どんな手紙書いたのよ?」
 トニヤがガロードとティファに興味津々の笑顔を見せる。二人は思わず顔を見合わせると、ガロードが応えた。
「なーいーしょっ! 行こう、ティファ」
 ティファがこくんとうなづいて、二人もブリッジを後にする。一人残されたトニヤは、つまらなさそうに大きく溜め息をついた。

「な、ティファ、外出てみないか? 雨上がりみたいだし」
「えぇ。」
 甲板へ上がると、気持ちの良い風が頬を撫でていった。
 雨上がりの空は、まだその殆どを雲に覆われて、雲の合間から光が差している。天上と地上を結ぶかのようなその光の帯を、二人はじっと見つめていた。ティファがそっと口を開く。
「綺麗……」
「あぁ。」
 ガロードはそう応えた。
『でも、ティファの方がずっとキレイだよ。』
 さすがにそんなことを言える訳もなく、ガロードは珍しくロアビィを尊敬する気になった。

「天使の梯子と言うんだ。」
 いつからそこに居たのか、テクスの声がした。
「へぇ……そんな名前なんだ。」
「見たままの名前だがな。光の向こうには晴れた空があるだけなんだが……あそこに天国があると見るのも、ひとの感覚というものさ。」
「そうだな……」


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