Camille Laboratory Top機動新世紀ガンダムX>創作小説>天使の梯子

 あそこに、天国があるのなら。
 あの天使の梯子を伝って、天国と行き来できるのなら。

「戦後、初めて太陽の光が差したのは、まだお前さん達が小さな頃だったと思うが、皆同じような目をして天使の梯子を見ていたものだ。」
「それが太陽だって分かっていても、別のもの、見ちゃうんだよな。」
 ガロードも、その日のことを思い出した。

 その頃はまだ母が生きていた。母が小さなガロードの肩を抱いて、そっと言った。
『父さん、あそこに居るんだよ。』
 軍の技術者だったガロードの父は、ガロードが生まれるのを待たずに、戦争で亡くなっていた。何処で死んだのかさえ、聞かされていなかった。

(今はおやじと一緒かい? おふくろ。)
 忘れかけていた面影を、久しぶりの雨が蘇らせてくれた。
 ガロードは、ごく自然に、ティファの肩をそっと抱いた。
 テクスはそんな二人を微笑ましげに見やると、静かに甲板から姿を消した。

(あそこに天国があって、皆そこに居るのだとしても──)
 自分の居場所はここだ、とガロードは思う。
(天国に行くのは、まだ、早いんだ。)
 ここは天国とは程遠いのかも知れないけれど、ここが自分の居場所なのだから。

「ガロード?」
 ティファの声に、ガロードははっと我に返ると、あわててティファから身を引いた。
「ぅゎわわっ……ゴメンよ、」
「いえ……」
 慌てるガロードを、ティファは見つめた。
「何を、考えていたの?」
「何って……んー。ウィッツとロアビィ、早く帰ってこないかなぁって。」
 唐突にそんな事を言い出すガロードにティファはくすり、と笑った。
「もうすぐ、来るわ。」
「そ、そう?」
 遠くの空に、機影らしいものが見えたのはその時だった。
「ほら。」
「ほんとだ! ティファ、迎えに行こうぜ!」
 ガロードはティファの手を握って、甲板から駆け下りた。
 つないだ手のぬくもりと同じくらい、胸に熱いものを感じながら。

(0108.09)



あとがき

 ガロティファのらぶらぶです。そ、それだけです〜(^^; 第十五話「天国なんてあるのかな」は本編自体も凄く好きなんですけど、まとまりすぎてて隙がなくって、なかなかお話書き辛いんですね。で、この本編に出てこなかったフリーデンクルーの皆さん何してたんでしょということで。キッド達が出せなくてごめんなさいでした。いずれまた挑戦してみたいです。しかし何気に「光の十字架」つながりのお話になってしまったのは謎であります。
 そそ、第十五話といえば、「スーパーロボット大戦α外伝」のウィッツの一言台詞はこの話からってあたりが嬉しかったりいたしました(^^) スパロボRはどうなるんでしょうかね。楽しみです〜。


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