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打ち切りと時間移動と路線変更と

 短縮と時間移動と路線変更というのは視聴者にしてみればやらないで欲しいものでありつつも、視聴率を上げて関連商品を売るにはそういうこともせねばならんのが大人の事情というもので。

●局の都合によるもの
 主に視聴率が悪いため、時間移動や打ち切りに至るもの。
 最近は民放の1クールドラマで打ち切りがよく見られるらしい。
 時間移動も、今でもアニメでは良く見られる例。TX系も例外ではなく。

●スポンサーの都合によるもの
 主に商品が売れないなどの理由で、路線変更や打ち切りに至るもの。
 路線変更(テコ入れ)して生き長らえる場合もあれば、それでも打ち切られる場合もある。
 ΖΖの路線変更はこの前者に相当するのかも。後者の例はファーストガンダム、あと後半のテコ入れが露骨だったシャンゼもこれっぽい。平均視聴率5.7%という数字だけ見ればTFSLより遥かに良いもんな(^x^;
 因みにレイズナーは、他のスポンサーの撤退によりバンダイ1社では持たなくなったために打ち切りとなったので、バンダイに全責任があるという訳ではない。

 以上をまとめてみると、こんな感じ。

 商品が売れない+視聴率が悪い=路線変更+打ち切り
 商品は売れてる+視聴率が悪い=スポンサーは続けたいが局は切りたい

 こうして整理した上でGXを振り返ると、時間移動と話数短縮は主に局の都合によるものだと思えます。短縮により後半の物語展開がスピードアップしたものの、路線変更というようなものは見られませんでしたし、アニメ設定にはないのにガンプラには存在する武器をアニメでちゃんと使っていたりというあたりは、さすが勇者で鳴らした高松監督、ぬかりはありません(もうちょっと見せて欲しいと欲を言えば限りないんですが)。

 GXの時間移動はキー局のテレビ朝日のみ、金曜夕方5時→土曜朝6時だったんですが、他のネット局では金曜夕方5時の枠が継続されました。テレビ朝日1局とはいえ、エリア人口を考えれば、土曜朝6時に飛ばして失われる視聴者の数は相当なものだと思うんですが、それをされてでもスポンサーとしては年末までの放映枠の確保を取ったということなんでしょう。他局が時間変更に追従しなかったのも、地方局ではそれほど悪い視聴率だと判断されなかったからだと思われます。

 ただ先の「ガンダムXと打ち切りと」に頂いたあやおりさんのコメントで『ガンダム神話Zeta』でのバンダイの見解を紹介いただいたのですが、その後実際の文面をいただけましたので以下に引用します。ありがとうございました(_o_)>あやおりさん

さて、ガンダムのキャラクター人気自体は上昇ムードにあったが、こと番組視聴率となると、『Vガンダム』以来、芳しくなかった。このため、TV復帰シリーズ第四作目『機動新世紀ガンダムX』に託された「ガンダムプロジェクト」の最優先テーマは、視聴率を上げることだった。これは視聴率が低いことに業を煮やした番組スポンサー企業の中で、ガンダム離れが進行していたからであった。だが、『ガンダムX』では視聴率低下に歯止めが利かず、放映期限終了を待たずに、テレビ復帰シリーズは打ち切られた。この余波を受け、『ガンダムX』の次のシリーズとして企画されていたSDガンダムのアニメ化の話は、時間枠を取れず立ち消えとなる。「視聴率が取れなくても、商品が売れれば良いという時代は終わった」と松本は改めて感じた。(P136〜137)
 ※松本…出版当時のサンライズ常務。『V』当時はバンダイ側で、『G』のために移籍したそうです。

 この話は先のレイズナーを思い出せば、ここでテレ朝での枠が打ち切りというのは分かる話です。「バンダイ1社では持たん時が来ているのだ!」って奴で(^^; とりあえずGXがTV放映で物語を全うできただけでも良しとせねばなりますまい。

 ただSDが流れた後に何があったのかといえば、サンライズでは「ガンダムW Endless Walts」と「08小隊」のOVAが製作中で、バンダイの子供向けシフト(SDの代替企画)はGW外伝である「G-UNIT」をボンボンで連載することでフォローされてます。ま、GWは売れてるからそっちで展開する方が新作を起こすよりは費用対効果が高かったということなんですが。こうして見れば、サンライズとバンダイの看板はガンダムなのだという認識は、この時点から現在に至るに変わっていない訳です。

#96年の他の雑誌展開として、Gガン外伝の「機動武闘外伝ガンダムファイト7th」(ボンボン増刊号)、一年戦争ゲームの「機動戦士ガンダム外伝」(覇王マガジン)などもあり。Gガンの小説も刊行中でした。

 当時のサンライズがガンダムOVA2本で忙しくなければ、それこそTXにSD売り込むくらいやって欲しかったような気もするんですが、いやそれは忙しいからとかどうとかいう問題じゃないのか。或いはそもそも企画が通らなかったのかは、今となっては謎なんですが。

 ……しかしガンダムOVA2本を抱えてた中でガンダムのTVシリーズも継続されてたら凄かっただろうなー。完全にキャパを超えてたんではなかろうか。ガンダムがサンライズとバンダイの看板なら、それに見合った製作環境(予算と時間)を揃えなきゃいかんのだろうに、GXの製作環境が恵まれていたとはとても思えんのですよね。プラネテスに至るまで、その環境については大した変化はなさそうなのが更に辛いんですが(i_i)

 主にアメリカ発の海外ドラマをよく見てると、向こうの放映形態って製作者に優しいんだなぁと思ってみたり。1年に2クール分くらいの話数を作って、再放送や休止期間を挟みながらゆったりオンエア。尤も視聴率が悪ければ1クールで問答無用に打ち切りというのも向こうの流儀ですし、新作を待っている間に忘れてしまって、折角始まった頃には見逃すこともあるんですが(^^; 日本だと休みなしで作り続けるから、構造的に疲労が蓄積しちゃってるんですよねぇ。新作をどんどん見たいという欲は日本式の方が満たされるんですが、結果的に質を悪化させているような気もします。いや日本でも半年ずつ番組を交代させる枠を維持してるドラマもあるんですけどね。これで良いのになぁ。でも作り続けることで食べている人も居るのだから、やっぱりとどのつまりは予算の問題って気がしてきました。


余談

 96年のB-CLUBの裏表紙はVOL.125とVOL.129〜VOL.135がGX。126、128がΖ、127が08小隊。表紙の方はGXだけでなく、天空のエスカフローネ、ガメラ2、超者ライディーン、機動戦艦ナデシコ、ガンダムW Endless Waltzといったところ。このあたりがバンダイの売りだったのでした。前年度のエヴァやGWの余波が大きい上に、GXは単に選択肢の一つでしかなかったということが如実に分かるかと。本誌見てると、若年層はミニ四駆に走ってたんだと思い出せました。因みにダグオンはタカラ+名古屋テレビの枠です。


(0409.07)




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