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ヒットしなくてはならないガンダム

 意地でも自分ではガンダムXは「打ち切り」ではなく「短縮」だと言い張ります。この言葉は、GXを好きだろうと好きでなかろうと、著しくマイナス方向に引っ張ってくれる言葉なので困ります。好きなら卑屈になるな。嫌いなのは構わんが「打ち切り」という言葉だけで駄作と決め付けるなと。「地味だ」「タルい」と非難される方が作品を見ての言葉だから余程受け入れられるというものです。実際その通りだし(^x^;

 とはいえ「これだけ地味でタルければ打ち切りも当然」と言われると返す言葉もありません。そりゃー株主様も大納得のヒットを飛ばして視聴率も絶好調であれば移動も短縮もありえなかったでしょうし、と今更言っても何にもならんのですが。

#ガンダムエース2004年10月号のテレ朝編成部の人のコラムの視聴率話を読んで更に落ち込んでみたり。えぇ分かってますよ。全ては実績ですよ。←だから卑屈になるなって(^^;

 前年度、自分の監督作品であるゴルドランと並行して、ガンダムWの後半の影武者監督を務めた高松監督。その「ガンダムとの不幸な再会」を経て、「好きに作っていい」と言われて、二作の監督という混乱の中で企画を立ち上げ、結果的に、富野監督のΖでも出来なかった「ガンダム潰し」をしようとして作られたGX。そういう話がヒットするかと言われれば、いかなGXスキーであろうとも、それはないんじゃない? と思える訳で。

 ただこのあたりの話は、LD1巻の高松監督インタビューにもありまして。

それ以前にこれは「ガンダム」という商品を売る商業アニメなわけですから。で、いろいろと考えるわけですよ。敵をバッタバッタ倒す強いロボットとか、カッコ良いヒーロー像とかを……。けれども、自分の中で「ガンダムX」という作品を組み上げていくと、困ったことにどうしてもそういう方向には進んでくれない。……もっとも、そりゃそうですよね。自分がいま、なぜ「ガンダム」を作っているのか、ということをテーマにしちゃったら、そんな風に作れるわけがない(笑)。

 監督にこう言われてしまえば言葉もないんですが(^x^;

 とはいえそれでも「ヒットするように作る」のは商業アニメでは至上命題ですし、自分ではGXの本来の筋である「ボーイ・ミーツ・ガールなガロードの冒険譚」の部分でヒットして欲しかったし、しなくてはならなかったはずです。なのに企画書にある「解りやすいドラマ展開」という部分が仇になったのかなぁという感じも。じっくり描こうとした結果各話の展開が緩くなってしまって、「地味」で「タルい」と見られても仕方ないんです。これが好きな人はたまらなく好きなんですけどね。

 あと一部に「富野でないのにNTを語るな!」という的外れな反感もありましたっけ(^^; これに関しては基本的に別物だというのと、同時期の富野原作「クロスボーン・ガンダム」のオチを読め、で返せるんですけど。

 で、96年にGXの放映が終わってTVシリーズが本当についえてしまったものの、99年にCX系へ移って富野監督による∀にて復活。この∀がヒットしたのかといえばこれも微妙。ヒットしていたのなら深夜の再放送枠も最後までやっただろうについえたし、CXが全国同時ネットを用意できなかった段階で盛り上がりに欠けたのは当時の実感。1年の放映は全うし、劇場版が公開されたものの、TVシリーズとして続けて枠を確保できなかったのは∀の限界を示しているのでしょう。尤もあぁいうオチを見せられると、これ以上のガンダムの続きって何よ状態になるのはGXと大差ないんですが(^^; それでもCX系でサンライズ枠というのもなくなったのは事実ですしね。

 で、2002年にMBS系へ移って始まったSEEDを見れば、ガンダムを復活させるためにはこうすればいいという解答が示されています。「ガンダム」であるというだけでは必ずヒットするとは限らない。しかし「ガンダム」である以上ヒットしなくてはならない。ヒットするためにはそれに見合った素材を用意しなくてはならない。そのためにはなりふり構ってはいられない。それはもう「これで勝てねば貴様は無能だ」のごとく。結果、放映終了後も総集編や再放送などで繋ぎつつ、続編の放映が決まったSEEDは、商品としては成功を収めています。視聴率はこの枠では飛び抜けて良かったというものでもなかったようですが(因みに平均6.2%)。

 一方2003年にTX系で始まったSDGFはアメリカのCARTOON NETWORK先導なのでちょっと異色の企画。制作費は確保できているというのが最大の強みだからか、SEEDの背水の陣のような危機感は見られません。助走期間はちょっと掛かりましたけど、今では人物や背景込みのフル3DCGもよく動いてますし、お話のノリも良くなってきて面白いです。こういう良心的な作品こそヒットして欲しいんですが。

 NBN→ANB→CX→MBS+TXときて、残るはNTV系と独立UとCSとBSとまさかのNHK……なんだまだまだあるんだなぁ。とはいえ、あまりキー局を渡り歩きすぎるのもどうかと。いやいっそ残りの局で別のガンダム立ち上げませんか(^Q^) って、それじゃキャパが超えちゃうよというのは先に書いたとおりですが。でも本当に見たいのは、ガンダムではないオリジナルなサンライズ作品なんですけどね、と思ってしまうあたりが、とことんサンライズ贔屓なんだなぁ自分。


(0409.07)




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