Camille Laboratory Top機動新世紀ガンダムX>創作小説>七つの夜、七つの夢

 四 彼の夢

 艦長日誌をぱたんと閉じて、ジャミルは舷側に立つと窓の向こうの月を眺めた。ティファは『月の巨人の夢』を見て、それでガロードに会えたのだと言う。だから彼を責めないでという言外の願いを聞き届けた風にして――彼の働きは自分の認めたことでもあるし、ガロードもこのフリーデンの正規クルーとして迎え入れることにした。そう日誌には記述したが、『月の巨人』については胸中に留め置く事にした。

 気になることはある。ティファが何故月のシステムコントロールへの登録を為し得たのか、それ以前にGXの居所をどうして突き止め得たのか。謎を解く鍵はあの月が握っているのだろう。彼の肉体を拡張したあの機体によもや再会することになろうとは思わなかったが、そのGXを最強の決戦兵器にした力の所以も月にある。

 『いつか月に行く日も来るのだろうか?』そんな声が内奥で響く。それは誰の声だったか……GXを駆った日々がふと脳裏に蘇る。いつか見たあの夢も蘇るのだろうか?そう思いながら彼は舷側を離れた。彼の夢は、夢と呼ぶには背負っているものが悲し過ぎるのだけれど。


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