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■on the reset : クラシゲ&ミズサワ編

 夏休みが終わろうとする頃、舞浜南高校の理科教師のクラシゲは、同じ高校のスクールカウンセラーであるミズサワに、一世一代の決意でプロポーズを試みることにした。真っ赤なバラの花束と、給料の3ヶ月分をつぎ込んだ指輪。ありとあらゆる占いを参考にして決めた日付に、花束と指輪とを抱えたクラシゲは夏休みの学校にやってきた。
 だが、その彼の目の前で、ミズサワは血相を変えて車に乗り込み、学校を出て行った。
 クラシゲは必死にミズサワを追って走った。だが、どういう訳なのか、追っても追ってもクラシゲは学校の外に出られなかった。理科教師たるものが、非科学的な占いなどに頼ったのが間違いだったのか。いや、今はそれどころではない。何故自分が学校から出られないのかを、理論的に考えなくては。そう思っても、どういう訳なのか、この状況を説明する理屈は思いつかなかった。ミズサワのことが気がかりでならないからだろう。ならば、ミズサワ先生が帰って来るのを、待っていよう。1学期の間、ずっと、この日を待っていたように。
 そしてミズサワは、クラシゲの待つ学校に戻ってきた。不安げな彼女の細い体を、クラシゲは不器用に抱き締めた。

「まるで、夢のようだ」
 ミズサワはクラシゲのプロポーズを受けた。その細い指にクラシゲから贈られた指輪をはめて、2人は今、学校の屋上で遅い夏の星空を眺めている。1学期の終業式の夜に、夏祭りの花火を見た時のように。
「ほんと、夢みたいですね、何もかも」
 ミズサワがクラシゲに言葉を合わせて、そっと彼に寄り添う。クラシゲは照れを隠しきれないまま、空を指差した。
「もう、夏も終わりですね。ほら、夏の大三角が、あんなに傾いている」
 天頂を過ぎた西の空に、明るい星が作る三角形が輝いていた。
「織姫と彦星ですね」
 ミズサワが言うのは、夏の大三角の2つの星、琴座のヴェガと鷲座のアルタイルのことだ。
「そうそう。先生には、そちらの名前の方が良かったですね」
 ぽりぽりと頭をかくクラシゲに微笑んでみせて、ミズサワは悲しい恋人達の伝説の星々を見上げた。
「七夕の夜にしか会えないなんて、可哀相」
「僕達はずっと一緒ですよ、これからは」
 勢いに任せて、クラシゲはミズサワの手を取った。
「そうですね、これが、夢でないのなら」
 ミズサワもクラシゲの手に自分の手を重ねて、二人は見詰め合い、時が止まった。

 ──比喩ではなく、無情にもその瞬間、舞浜サーバーはリセットされた。
 後には無人の屋上が残されて、東の空低く、ヴェガとアルタイルが昇り始めた。


(0609.15)



 ここで七夕はベタ過ぎる! ってツッコミはナシな(i_i)


 →リセット小ネタ集その1−5:イリエ編



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