Camille Laboratory : ZEGAPAIN Topゼーガペイン>創作小説>on the reset


■on the reset:コージー編

 8月31日の夜中。今日で夏休みが終わってしまうというのに、憂鬱な雨が降るのが何だか厭だなぁとコージーは思った。明日は晴れると良いな、2学期が始まるし。そう思うと何だか眠れなくて、コージーはそっと枕元の明かりを灯した。

 雨はもう止んだのか、夜中の家はシンと静まり返っている。部屋の壁に掛けられたカレンダーの写真は、眩しいばかりの夏。楽しかった夏休みは今日でおしまい。明日からはまた学校に行かなければならない。はぁ、と溜息をつくコージーの視界の端で、時計の針が午前0時に近付く。

 今この家の中で起きてるのは僕だけなのかな。パパもママも寝ちゃったのかな。こんな夜遅くまで起きてることなんてないから、こんな静かな家の中なんて知らなかった。自分の部屋の中で一人きり。ふとコージーは恐くなった。枕元に明かりを灯しているのに、暗い部屋の、その扉の向こうにある闇が、酷く恐ろしい空間に思える。ここは僕の家なのに。パパもママも居るはずなのに。コージーは、布団を被ると固く目を閉じた。

 時計の針が、午前0時を示す。

 コージーはそっと目を開けた。そろりと布団から顔を出すと、時計の針は何事もなく、カチカチと時を刻み続けている。壁のカレンダーの写真は、淡い色の花が満開の桜の樹。今日は4月4日、1学期の始業式だ。今年は何組になるのかな、誰が同じクラスかな。そう思うとワクワクしてくるけれど、入院している姉のリョーコのことを思うと、そんな気持ちはしゅんと萎える。
 姉ちゃん、折角キョウちゃんと同じ高校に受かったのに、今日が入学式なのに、まだ退院できないなんて。面会謝絶とされて家族でさえ会えないで居る姉のことが、コージーには気がかりだった。パパもママも、コージーが心配しても仕方ないよ、コージーが元気に学校に行くのが、一番良いことなんだよと言うのだけれど。

 明日、じゃないや、今日は晴れると良いな。姉ちゃんも、早く元気になると良いな。
 おやすみ、姉ちゃん。
 そう呟いて、コージーは目蓋を伏せた。


(0701.07)



 布団の中でリセットならこういうのもアリかなと。パパとママは当然「居るはず」なだけですけどね。


 →リセット小ネタ集その2−2:ミズキ編



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