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ゼーガペイン
>創作小説
こちらはC75発行(冬コミ新刊)のゼーガペイン本
(同人誌)
「Quantum Leap 08 : boys be brilliant」のサンプルページです。興味を持たれた方は是非
出版課
をご覧ください。
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背中合わせの二人
KYO & LU-SHEN
entanglement22「ジフェイタス」より
陰鬱な雲が低く覆う暗い空を、細く眩い光が切り裂く。爆音と共に赤い炎の球が燃え散り、幾筋もの閃光が交差する。禍々しい死に彩られた戦場を、緑色の光を纏う機体は鮮やかな軌跡を描いて飛翔してゆく。
ガルズオルムの環境改変により荒廃した地上の物陰になる位置からその上空を固唾を呑んで見守っていたルーシェンは、ソゴル・キョウの操るゼーガペイン・アルティールの見事な動きにすっかり魅了されていた。
アルティールは巧みに攻撃を避けながら、敵機を一掃するポイントを窺っているように見えた。ガルズオルムの空戦機であるウルヴォーフルは機動性に優れているが、集団戦での攻撃パターンには付け入る隙がある。この空域のウルヴォーフルを、キョウは自機を囮として狙わせるようにしてその展開範囲を狭めてゆく。アルティールは急制動を掛けて反転し、狙いを定めたホロニックランチャーの放つ閃光が次々に敵機を撃破していった。
《Ulvorfuls; wiped out.》
AIに言われずとも、その結果は一目瞭然だ。ゼーガペイン・カラドリウスのコクピットで、ルーシェンはふぅと大きく息をついた。
『ルーシェン、頼むわ』
そう呼びかけてきたのはキョウとパートナーを組むウィザードのミサキ・シズノだ。通信ウィンドウの彼女の顔は一仕事終えた安堵を滲ませているように見えた。
『了解』
ルーシェンは空中で静止したアルティールに向けて自機の位置を修正した。彼が後ろを振り向いて頷くとリアシートに投影されたAIのリチェルカの指が軽やかに動く。
《アルティールへ、QL送ります》
QLが尽きれば母艦への帰投も叶わなくなる。戦場でQLを補給できるゼーガタンクの異名を持つカラドリウスの存在意義は大きかった。そのコクピットに居ることをルーシェンは誇らしく思っていた。
これは彼にとってゼーガペインでの初出撃だった。哨戒飛行中に敵機と遭遇したアルティールの救援が目的で、敵機を掃討するもQLが尽きかけたアルティールに補給活動をすることになったのだ。
──それはルーシェンの主観時間で一年半近く前のことだ。現在オケアノスはガルズオルムの北極基幹サーバーを目指している。最終作戦と位置づけられた戦いに臨む最中に訪れた待機中の空白。彼は作戦前のキョウとの会話を思い出して、彼と過ごしてきた日々を振り返っていた。
→ QL08 焼き芋大作戦!
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